〜それでもソウタは、ちゃんと野球を始めました〜
🟡 1. 忘れられない“体験の日”
ソウタが初めて野球チームの体験に行った日。
初めてのユニフォーム、初めてのグラウンド、そして初めてのチームの空気。
緊張してたのか、ただ遊びたかったのか、
気がついたら草むらに突っ込んで、全力ダッシュ。笑
帰ってきたときには、
靴下もズボンも袖も帽子も、全身くっつき棒まみれ。
「これは洗濯前に1時間コースだな…」って母の心はちょっと泣いた。
🟡 2. くっつき棒と戦う少年
体験中も、他の子たちがキャッチボールやノックをしている中で、
ソウタはひたすら、自分の体についたくっつき棒を取ってた。
練習はどこいった?って思うくらい、黙々と集中。
でも、そんなズレた感じがソウタらしくて、私はちょっと笑ってしまった。
体も細くて、力もまだまだなくて、
「野球向いてないかもな…」って思った瞬間もあったけど、
あの日のソウタなりの頑張りだったんだよね。
🟡 3. 無言でくっつき棒を取ってくれた監督
そんなソウタを見ていた監督が、
ふらっと近づいてきて、しゃがみこんで…
無言で、くっつき棒をひとつずつ取ってくれた。
怒るわけでもなく、ただ静かに、そっと。
私はその姿にちょっと涙が出そうになったし、
ソウタも、なんだか安心した顔をしていた。
🟡 4. 「監督がやさしかったから。あと、鬼ごっこしたいから!」
体験が終わって、車に乗ったとき。
ソウタが言った言葉が、忘れられない。
「監督やさしかったから…あと、みんなと鬼ごっこしたいから入るー!」
あまりにソウタらしくて、笑った。
野球が楽しかったからでも、うまくできたからでもない。
「やさしかった」ことと「一緒に遊べた」ことが決め手。
でも私は、それでいいと思った。
むしろ、それがいちばん大事な気がした。
🟡 5. あれから1年と数ヶ月。ソウタの気持ちは変わった
くっつき棒だらけだったあの日から、時間が経った今。
ソウタは、口にするようになった。
「もっと上手くなりたい!」
「試合に出たい!」
「勝ちたい!」
「プロ野球選手になりたい!!」
最初は草まみれで始まった野球だったけど、
今はちゃんと「夢」がある。
きっとそれは、
最初のきっかけが“安心できる場所”だったからだと思う。
🟡 6. まとめ|あの日のくっつき棒が教えてくれたこと
今でも洗濯物からくっつき棒が出てくると、
ふと、あの日の体験を思い出す。
くっつき棒ってただの草だけど、
ソウタにとっては、「ここで野球を始めたい」と思えた、最初のしるしだったんだろうな。
これからもっと泥だらけになる日も、悔しい思いをする日もあると思う。
あの草まみれの姿から、夢を語るまで成長したソウタ。あの日のくっつき棒は、今もわたしにとって宝物です。
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