キャッチボールの相手がいないソウタ。母と父の支えとあの日々

キャッチボールの相手がいなかったソウタ

キャッチボールが苦手だった。

グラウンドに立っても、ソウタにはキャッチボールの相手がいなかった。

年下の子でさえ他の子と組んでいて、ぽつんと一人でいたソウタ。

「一緒にやろう」と声をかけても、軽く断られる。

そのたびに彼は笑っていたけれど、あの笑顔が一番つらかった。

見ている母の心が限界に近づいていた

その様子を見るのが、どうしても耐えられなくて――

私はグラウンドに行けなくなった。

「今日はどうだった?」と聞くのも怖くて、

「辞めてもいいんだよ?」とつい口にしてしまった。

でもソウタは、静かに「辞めない」と言った。

父にグラウンドを託し、母は夕方のキャッチボールを

それからは父にグラウンドを任せた。

父も時間があればキャッチボールに付き合ってくれた。

休みの日も、仕事から帰ってきたあとも。

「もう一回やるか」とグローブを持ち出して、何度も何度も投げ合った。

私は平日の夕方、ソウタとキャッチボールを続けた。

「どうか少しでも上手になりますように」って、願いながら。

少しずつ変わってきた

上達のスピードは遅かったかもしれない。

でもある日ふと、グラウンドでソウタが「キャッチボールしよう」と誘われていた。

その瞬間を見た時、込み上げてくるものを抑えきれなかった。

おわりに

「下手だったら仲間に入れない」そんな現実に向き合いながら、

それでも「辞めない」と言ってくれたソウタ。

父も、母も、できることで支え続けたあの時間があったから、今がある。

これからもきっと壁はある。

でもあの日々があるから、きっと乗り越えられるって思える。

あなたもきっと大丈夫

いま同じような経験をしているみなさまへ。

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